【レポート】第4回計量社会学セミナー(2010年9月2日~9日)に参加して

仲 修平(社会学研究科 博士課程前期課程)

写真1:セミナー会場のホテル前にて

写真1:セミナー会場のホテル前にて

 

写真2:セミナー風景

写真2:セミナー風景

● 日時:2010年9月2日(木)~9月9日(木)

● 場所:Hotel Greenwich Village(ネパール・カトマンズ)

最終回となる本セミナーでは統計ソフトRを用いて回帰分析を中心に学ぶと同時に、各大学院生の研究関心に基づいた報告を行った。私は統計/計量的な知識や経験も浅いということもあり不安な面も多々あったが、多くのことを学ぶことができて大変得難い経験となった。

参加に至る最大の動機は、ネパールという未知の国への関心と同じ社会学を学ぶ同年代の大学院生との学術的な交流ができるという大変貴重な機会に何とか自分も加わりたい、という思いからであった。

セミナーを振り返ってみると、現地での経験も大変得難いものであったが、セミナーに向けた準備を通じて多くの先生や院生との新たな交流をさせてもらったことが、私にとっては大きいものとなっている。

日本とは異なる社会的背景において研究に取り組んでいる、ネパールの大学院生の研究関心を知ることができたことや、実際にディスカッションできたことは大変刺激になった。これを機に語学力を磨いて、海外での報告やセミナーへ参加できるように日々研鑽していきたい。

今回のセミナーを経ることによって、私自身の修士論文に向けた研究では質的研究方法と量的研究方法を調和させながら取り組んでみたいと考え始めている。GPプログラムとしての本セミナーは終了するが、計量的な社会学の面白さを知ることができ、私にとっては出発点となった。今後、実際の調査に取り組む中で、質的・量的の双方のデータから分析を進めていけるよう学術的な幅を広げていきたい。


文:仲 修平(社会学研究科 博士課程前期課程)


※より詳しい報告は「ネパール・トリブバン大学CNASとの計量社会学セミナー(第4回)報告」をご覧ください。

posted on 2010-10-23    

【レポート】第3回計量社会学セミナー(2010年3月10日~17日)に参加して

前田 豊(関西学院大学大学院社会学研究科 博士課程後期課程)


写真:セミナー風景

写真:セミナー風景

2010年3月7日から10日にかけて第3回計量社会学セミナーがネパールで開催された。おおまかな日程として7~9日はトリブバン大学側の参加者を交えた統計セミナーに、10日はネパールを代表する景勝地ナガルコットと多くの外国人バックパッカーが集うタメル地区を巡るスタディツアーにあてられた。ここでは統計セミナーに焦点を絞り報告を行う。

トリブバン大学との共催で行われるこのセミナーもすでに3回目をむかえたということで、1回目や2回目の記述・推測統計を中心としたセミナー内容も対数線形モデル(前田)や質的比較分析(中野准教授)といった、よりアドバンスな内容へとシフトしていった。セミナーでは対数線形モデルを多変量データの分析手法として、また質的比較分析を中心極限定理が適用できないケースの分析手法として紹介されていたが、これらの内容を理解するためには、1回目・2回目で学んだ統計学的知識が前提となる。大半の参加者がこれまでのセミナーに継続して参加している参加者であるということで、当初は発展的な内容に戸惑いを見せていたものの、最終日に行われたグループ発表では各グループが今回新しく学んだ手法を援用した分析結果を報告できる段階にまで到達していた。わずか3日という短い期間の中でこれほどまでの成果が果たせたことは、各参加者の積極的な取り組みもさることながら、継続したセミナー運営が実を結んだ結果であると思われる。

今回を含め、今までのセミナーは講義・演習形式で進行されていたが、スケジュール上最後のセミナーとなる次回(8月)のセミナーでは、日本・ネパール側の参加者が今までに学んだ統計手法を活用し、各々の関心テーマに即した成果発表を行う予定になっている。自己紹介や休憩中の歓談を通して、お互いに問題関心については多少知りえているものの、細かく突っ込んで議論したことはなかったことを鑑みれば、最後にはなるが次回のセミナーは日本とネパール間の学術的交流を実現させる絶好の機会になる。もし、次回のセミナーにも引き続き参加できるのであれば、議論が嚆矢となりプログラム終了後も共同研究といった形で継続的な交流へとつながるような発表ができるよう努力したいと思う。


文:前田 豊(関西学院大学大学院社会学研究科 博士課程後期課程)


より詳しい報告は「ネパール・トリブバン大学CNASとの計量社会学セミナー(第3回)報告」をご覧ください。

posted on 2010-04-28    

【レポート】第3回計量社会学セミナー「R」勉強会

前村奈央佳(関西学院大学大学院社会学研究科研究員)


日時:2010年2月8日(月)10:30-16:00

場所:関西学院大学上ヶ原キャンパス 全学共用棟二階GPレンタルラボ

2月8日(月)は山口大学教育学部より小杉考司先生をお迎えして、統計パッケージ「R」の勉強会を開催しました。参加者は社会学研究科内外から20名を越える方々が集まり、にぎやかな会となりました。初心者対象、たった1日の勉強会ということもあり、Rの基本となる使い方と、さまざまな分析に応用する際の調べ方を中心に教えていただきました。

Rの良い点は、(先生の表現をお借りすれば)「Rと会話しながら」使用者が能動的に分析を行う仕組みになっていることだと思います。近年の統計ソフトの進化によって、研究者は分析過程や結果に対して、気づかぬうちに「受動的」になってしまいがちです。コンピューターがあまりにも速いスピードで複雑な分析をしてくれるので、初心者のうちから某統計ソフトに慣れてしまっていた筆者は、今なぜその分析が必要なのかを考える前にソフトを走らせている・・・・ということも多々ありました。そういった意味で、分析プログラムを描いていくRの方法は一見とっつきにくいようで、むしろ統計の初学者にとっても優れているのではないかと思います。

また、何といっても便利な点は、Rのパッケージが無料でダウンロードできるところです。経済的な問題でこれまで分析法に制約が課せられていた研究者たちも、これからは同じスピードと分析の精度をもって研究を発表していくことが可能になります。ネパールの統計セミナーが、これまで暗黙のうちに存在していた分析手段の垣根を壊す第一歩となることを期待しています。


文:前村奈央佳(関西学院大学大学院社会学研究科研究員)

posted on 2010-03-01    

【レポート】第2回計量社会学セミナー(2009年8月22日~30日)に参加して

投稿者:前田豊(関西学院大学大学院社会学研究科博士課程後期課程)

dsc03030s

8月下旬から4日間にわたってネパールで行われた計量社会学セミナーにおいて、前半2日の講師を院生2名(前田、東光)で担当した。主な内容として、3月に開催された第一回セミナーの復習、新たな内容として相関係数(ピアソン、ケンドール)の説明と統計ソフトRでの分析方法(前田)、そして計量分析のための質問紙作成についての説明(東光)が行われた。院生担当分の講義資料はGP事務室ほか関係者各位からご指導を賜り、院生が自主的に作成したものである。まずは、ご協力頂いた関係者各位に記して謝意を表したい。

セミナーでは、担当者が講義と分析操作の説明をしたのち、実際のデータセットを使って実習を行った。質的アプローチが主流であるネパールの学生にとって、量的アプローチはまだ一般的ではない馴染みの薄い手法であるにも関わらず、彼ら/彼女らは柔軟にそれらのエッセンスを吸収し、さらには貪欲に自身の研究に反映させようとする積極的な姿勢を見せていた。

セミナー参加決定後、GP事務室での英語指導に加え、A.Brady 教授らによる英語クラスでも練習を重ねたが、日本とネパールの院生に圧倒的な英語の能力差があり、参加者から投げかけられる質問やコメントに対して適切に対応することに苦労した。また、講義内容そのものに関しても、事例がシンプルすぎたため統計的手法の適用可能性に対する矮小なイメージを与えたかもしれないといった反省点がある。

今回はスケジュールがタイトであったため学生間の学術的交流に割ける時間がほとんどなかった。次回のセミナーにも参加することができれば、より一層の英語能力の習得はもとより、講義内容に関しても、階層研究など実際に統計的手法によって分析が行われている事例を題材とすることで、統計手法の適用可能性を具体的に示唆しつつも、統計という共通言語を通じてお互いの社会に対する相互理解を促し、学問的交流の幅を多面的に広げられるセミナー作りの一助になれるよう専心したいと考えている。

(前田豊・関西学院大学大学院社会学研究科博士課程後期課程)


より詳しい報告は「ネパール・トリブバン大学CNASとの計量社会学セミナー (第2回) 報告」をご覧ください。

posted on 2009-10-30    

【写真&レポート】第1回計量社会学セミナー(2009年3月7日~3月9日)に参加して

投稿者:中川和亮(関西学院大学大学院社会学研究科博士課程前期課程)
日時:2009年3月7日~3月9日
写真 セミナー終了後

写真 セミナー終了後

3月上旬、ネパール・トリブバン大学ネパールアジア研究センター(CNAS)との計量社会学セミナーに参加した。 3/7から3日間行われたセミナーでは、ネパールの学生とタッグを組み、計量社会学特に今回は統計ソフト“R”を使用してデータを解析しプレゼンテーションする作業に共同で取り組んだ。通訳を介さずに英語でコミュニケーションしたため、大変身近な国際交流を実感できた。

次に、セミナー前の3/5,6の2日間実施したスタディツアーを紹介しよう。 1日目はトリブバン大学CNASのカルキ氏及びアユシュマ氏のナビゲーションでヒマラヤを展望できる高台の村ドリッケルやカトマンズ、パタンと並ぶ古都バクタプールなどを訪問。ドリッケルのナモブッダ寺院の近くでは、サイババもやってきたというバッティ(茶屋)に入って、「ククリラム」というネパールのラムを呑みながら休憩。人はもちろんのこと、店の雰囲気やけっしてきれいとはいえないグラスで飲む酒はローカル感があふれて、ネパールにやってきたことを実感する。 2日目はカトマンズ市内を散策。道端には物乞い、特に男の子の物乞いが多く、明らかに観光客風の私たちのなか何人かはしきりにお金をせがまれる。男の子たちがせがむ相手にははっきりとした基準があるようで、特定のメンバーだけが選ばれる。ルピーをあげるにしてもあげないにしても、すでに物乞いそのものの経験に乏しい私たちには、大いに戸惑わされる経験であった。

その後、3日間のハードなセミナーを終えた最終日(3/10)はヒンドゥ教の春の祝典「ホーリー」日だった。びしょ濡れになりながら水風船を投げ合い、春の訪れを祝う人々でハッピーな街をあとに、その夜のフライトで私たちは帰国の途についた。 スタディツアーでネパールの街のにおいを実感し、国の状況(水や電力不足など)を聞き、体感した上でのセミナーは、国際交流を円滑に進める上において大変貴重な体験であった。

より詳しい報告は「ネパール・トリブバン大学CNAS との計量社会学セミナー (第1回)報告」をご覧ください。

posted on 2009-05-24    

【レポート】第二回勉強会

投稿者:濱田武士

日時:2009年2月13日15:30-17:00

内容:学生は各自の研究を英語か日本語で報告しました。報告者はテランスさんからアドバイス、課題、質問をもらいました。統計の教材(英文)の一部を学生が分担し、報告しました。今回は統計の基本的な用語とその内容を参加者全員で学びました。

posted on 2009-02-13    

【レポート】第一回勉強会

投稿者:濱田武士

日時:2009年2月6日14:30-16:45

内容:参加者は、自己紹介をかねて各自の研究を報告しました。学生は、次回までに研究の内容を90秒で英語で発表するという宿題が出されました。統計の教材(英文)の一部を学生が分担し、報告しました。学生は、英文の要約の仕方をテランスさんからアドバイスをもらい、また、参加者全員で統計の用語(英語)についての理解を深めました。

posted on 2009-02-06    

Seminar on Quantitative Analysis of Sociological Data with “R”

■Seminar of Quantitative Analysis of Sociological Data with “R” in Tribhuvan University, NEPAL(協力校:トリブバン大学) 

中野康人(関西学院大学社会学部准教授)/古川彰

 このプログラムは21世紀COEプログラムで開始された国際交流を継承している。本セミナーでは、学術交流のひとつの手法である公開セミナーを相手機関で開催し、その院生が高度な研究方法に触れる機会を提供する。院生らがそのセミナーをコーディネートすることで、院生らの国際学術交流の能力を涵養することを主な目的としている。

 今回のセミナーでは、既に研究事例や研究対象が定まっている大学院生・若手研究者を対象にして、各自が計量的な手法(アプリケーション・ソフト「R」を使用)を使って分析をすすめていく方法を修得することを目標とする。具体的テーマは、(1)問題設定と計量化、(2)データ収集、(3)データの記述と視覚化、(4)関係の分析と視覚化、などである。

■写真集 カトマンズとその周辺(いずれも古川彰先生撮影)

カトマンズ近郊農村コカナ。

写真1 カトマンズ近郊農村コカナ。

コカナにて。毛沢東主義者の旗がはためく。

写真2 コカナにて。毛沢東主義者の旗がはためく。

旧王都パタンにおける仏教徒の祭りSamayek

写真3 旧王都パタンにおける仏教徒の祭りSamayek

パタンのニワトリ売り

写真4 パタンのニワトリ売り。このすぐあと土砂降りがやってくる午まえの時間。

posted on 2009-02-04    

【レポート】第1回ワークショップ

投稿者:福田雄

日時:2009年1月14日(水) 15:00~16:30

場所:池内記念館 第3会議室

内容:1月14日、国際プログラムの協力校であるトリブバン大学(ネパール)よりミリゲンドラ・カルキ氏が来校し、3月開催予定の計量社会学セミナーの打ち合わせと第1回目のワークショップを行った。ワークショップでは、カルキ氏が執筆中の博士論文の一部を発表して頂いた。氏の研究対象は、ネパールにおける活動家である。長年のフィールドワークにもとづく質的調査と、800サンプルを超える量的調査を用いて、ネパールの人々がどのようなモチベーションから活動家となっていくのか、またそれに影響する変数にはどういったものがあるのかを明らかにしている。氏は、活動家の3つの側面(モチベーション、活動内容、時系列)について分析を行った。その結果、ネパールにおける活動家への転身は、時期と活動内容によって動機付けが異なると結論付けた。氏の研究は、Rという統計ソフトによる分析を導入することで飛躍的に発展したということだった。Rを使った研究を初めて拝見したが、その印象としては新鮮なグラフィックにより、直感的な推論が可能とり、より発展した知見が得られる可能性を感じた。すべて英語で発表及びディスカッションが行われたこと、多様な宗教や身分制度、地域性や民族で構成されるネパール社会について事前の知識がなかったことから、その研究内容には理解が困難な部分もあった。しかしながら、識字率が60%という社会においての社会調査とは、日本や欧米など違った困難があるのだということを感じた。

posted on 2009-01-14