【レポート】第2回計量社会学セミナー(2009年8月22日~30日)に参加して
8月下旬から4日間にわたってネパールで行われた計量社会学セミナーにおいて、前半2日の講師を院生2名(前田、東光)で担当した。主な内容として、3月に開催された第一回セミナーの復習、新たな内容として相関係数(ピアソン、ケンドール)の説明と統計ソフトRでの分析方法(前田)、そして計量分析のための質問紙作成についての説明(東光)が行われた。院生担当分の講義資料はGP事務室ほか関係者各位からご指導を賜り、院生が自主的に作成したものである。まずは、ご協力頂いた関係者各位に記して謝意を表したい。
セミナーでは、担当者が講義と分析操作の説明をしたのち、実際のデータセットを使って実習を行った。質的アプローチが主流であるネパールの学生にとって、量的アプローチはまだ一般的ではない馴染みの薄い手法であるにも関わらず、彼ら/彼女らは柔軟にそれらのエッセンスを吸収し、さらには貪欲に自身の研究に反映させようとする積極的な姿勢を見せていた。
セミナー参加決定後、GP事務室での英語指導に加え、A.Brady 教授らによる英語クラスでも練習を重ねたが、日本とネパールの院生に圧倒的な英語の能力差があり、参加者から投げかけられる質問やコメントに対して適切に対応することに苦労した。また、講義内容そのものに関しても、事例がシンプルすぎたため統計的手法の適用可能性に対する矮小なイメージを与えたかもしれないといった反省点がある。
今回はスケジュールがタイトであったため学生間の学術的交流に割ける時間がほとんどなかった。次回のセミナーにも参加することができれば、より一層の英語能力の習得はもとより、講義内容に関しても、階層研究など実際に統計的手法によって分析が行われている事例を題材とすることで、統計手法の適用可能性を具体的に示唆しつつも、統計という共通言語を通じてお互いの社会に対する相互理解を促し、学問的交流の幅を多面的に広げられるセミナー作りの一助になれるよう専心したいと考えている。
(前田豊・関西学院大学大学院社会学研究科博士課程後期課程)
より詳しい報告は「ネパール・トリブバン大学CNASとの計量社会学セミナー (第2回) 報告」をご覧ください。