【レポート】第3回計量社会学セミナー「R」勉強会
前村奈央佳(関西学院大学大学院社会学研究科研究員)
日時:2010年2月8日(月)10:30-16:00
場所:関西学院大学上ヶ原キャンパス 全学共用棟二階GPレンタルラボ
2月8日(月)は山口大学教育学部より小杉考司先生をお迎えして、統計パッケージ「R」の勉強会を開催しました。参加者は社会学研究科内外から20名を越える方々が集まり、にぎやかな会となりました。初心者対象、たった1日の勉強会ということもあり、Rの基本となる使い方と、さまざまな分析に応用する際の調べ方を中心に教えていただきました。
Rの良い点は、(先生の表現をお借りすれば)「Rと会話しながら」使用者が能動的に分析を行う仕組みになっていることだと思います。近年の統計ソフトの進化によって、研究者は分析過程や結果に対して、気づかぬうちに「受動的」になってしまいがちです。コンピューターがあまりにも速いスピードで複雑な分析をしてくれるので、初心者のうちから某統計ソフトに慣れてしまっていた筆者は、今なぜその分析が必要なのかを考える前にソフトを走らせている・・・・ということも多々ありました。そういった意味で、分析プログラムを描いていくRの方法は一見とっつきにくいようで、むしろ統計の初学者にとっても優れているのではないかと思います。
また、何といっても便利な点は、Rのパッケージが無料でダウンロードできるところです。経済的な問題でこれまで分析法に制約が課せられていた研究者たちも、これからは同じスピードと分析の精度をもって研究を発表していくことが可能になります。ネパールの統計セミナーが、これまで暗黙のうちに存在していた分析手段の垣根を壊す第一歩となることを期待しています。
文:前村奈央佳(関西学院大学大学院社会学研究科研究員)