【レポート】第3回計量社会学セミナー(2010年3月10日~17日)に参加して
前田 豊(関西学院大学大学院社会学研究科 博士課程後期課程)

写真:セミナー風景
2010年3月7日から10日にかけて第3回計量社会学セミナーがネパールで開催された。おおまかな日程として7~9日はトリブバン大学側の参加者を交えた統計セミナーに、10日はネパールを代表する景勝地ナガルコットと多くの外国人バックパッカーが集うタメル地区を巡るスタディツアーにあてられた。ここでは統計セミナーに焦点を絞り報告を行う。
トリブバン大学との共催で行われるこのセミナーもすでに3回目をむかえたということで、1回目や2回目の記述・推測統計を中心としたセミナー内容も対数線形モデル(前田)や質的比較分析(中野准教授)といった、よりアドバンスな内容へとシフトしていった。セミナーでは対数線形モデルを多変量データの分析手法として、また質的比較分析を中心極限定理が適用できないケースの分析手法として紹介されていたが、これらの内容を理解するためには、1回目・2回目で学んだ統計学的知識が前提となる。大半の参加者がこれまでのセミナーに継続して参加している参加者であるということで、当初は発展的な内容に戸惑いを見せていたものの、最終日に行われたグループ発表では各グループが今回新しく学んだ手法を援用した分析結果を報告できる段階にまで到達していた。わずか3日という短い期間の中でこれほどまでの成果が果たせたことは、各参加者の積極的な取り組みもさることながら、継続したセミナー運営が実を結んだ結果であると思われる。
今回を含め、今までのセミナーは講義・演習形式で進行されていたが、スケジュール上最後のセミナーとなる次回(8月)のセミナーでは、日本・ネパール側の参加者が今までに学んだ統計手法を活用し、各々の関心テーマに即した成果発表を行う予定になっている。自己紹介や休憩中の歓談を通して、お互いに問題関心については多少知りえているものの、細かく突っ込んで議論したことはなかったことを鑑みれば、最後にはなるが次回のセミナーは日本とネパール間の学術的交流を実現させる絶好の機会になる。もし、次回のセミナーにも引き続き参加できるのであれば、議論が嚆矢となりプログラム終了後も共同研究といった形で継続的な交流へとつながるような発表ができるよう努力したいと思う。
文:前田 豊(関西学院大学大学院社会学研究科 博士課程後期課程)
より詳しい報告は「ネパール・トリブバン大学CNASとの計量社会学セミナー(第3回)報告」をご覧ください。