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【ギャラリー】地方の裏寂れた商店街にあるゲームセンターのUFOキャッチャーが奏でるメロディー

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地方の裏寂れた商店街にあるゲームセンターのUFOキャッチャーが奏でるメロディー(2010年4月撮影、2010年5月掲載)

総延長1キロ以上にもおよぶ岡山市中心市街地で最大規模の表町商店街では、テナントの高齢化や後継者不足が進み、一日中シャッターを降ろしている店舗も多く見られる。ゲームセンター周辺の商店街は、郊外型シネマコンプレックスがオープンした影響でかつて存在していた映画館が閉鎖されたこともあり、特に元気がない。

夜の9時も過ぎれば、閑散とした商店街にはUFOキャッチャーの電子音が静かに漏れ、その周辺にかすかに広がっていく。そしてゲームセンターには、人びとにはあまり知られていない、しかしおそらくどこの「地方」のゲームセンターに行っても広がっているであろう光景や人びとのつながりが存在している。その光景とささやかなつながりは、UFOキャッチャーから流れてくる電子音で奏でられた「おどるポンポコリン」のように切なく、希薄なものである。

実に様々な人びとにそのゲームセンターで出会うことができる。地元の私立大学に通う大学生。中学校を卒業して以来、学校にも通わないし、働いていないニートの若者たち。UFOキャッチャーで獲った景品でコスプレしている少女たち。ゲーム好きのサラリーマン。そして、野宿生活をするホームレスの若者たち。皆、行き場を失っているという意味では、ホームレスと呼べるのかもしれない。

彼/彼女らは、メールアドレスを交換し、ジュースや煙草、ゲーム料金やコインを融通しあうなかで、その寂しい場所を意味あるものにするためにメンテナンスし、社会とのつながりをギリギリのところで維持している。このように、経営的には必ずしも芳しいとはいえない「地方」の裏寂れた商店街のゲームセンターも、居場所を失った人びとの拠り所となり、自己を確認し、文化を営む場所となっている。

文:川端浩平 (大学院GP特任助教) 撮影:中村智道

■ストリート・ギャラリー(フィールドから見えるもの)

posted on 2010-05-31