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【ギャラリー】 肉用牛農家で働く人々

投稿者:佐野市佳

牛小屋(ハッチ) 2007年9月撮影

牛小屋(ハッチ) 2007年9月撮影


子牛の牛舎移動 2007年3月撮影

子牛の牛舎移動 2007年3月撮影


肉用牛農家で働く人々(2009年5月掲載)

今から4年前の冬、「肉用牛農家で働く人々」に出会った。そこは北海道の牧場であった。牛乳、アイスクリームにチーズ、生キャラメルなど北海道土産には欠かせない品々。黒と白のまだら模様が牧草のグリーンに映えるホルスタイン牛、この牛が搾り出してくれる乳から作り出す製品である。このホルスタイン牛が与えてくれる製品は乳製品ばかりではない。それは「牛肉」。国産牛と表示される多くはこのホルスタイン牛の雄牛なのである。このホルスタインの雄牛ばかりを飼養する牧場が「肉用牛農家」。


長く一直線に連なった子牛小屋(ハッチ)のバケツにミルクと餌を運ぶ農家のお母さんは、365日毎日一直線に歩き、そして歩いた道を戻る。子牛に話しかけ、顔を見て、腰をかがめて子牛小屋の横をゆっくり歩く。そして戻る。そのお母さんの横を私も同じように歩く。


雨の日も、雪の日も、大雪の日も、吹雪の日も、子牛が成長すれば牛舎から牛舎へ移動する。トラクターの後ろに荷台をつないで子牛を運ぶ農家の息子さん。1度に10頭程度の子牛を乗せて何度も何度も運ぶ。時にはその荷台に私も入って、子牛と一緒に移動する。


これまであまり知られることのなかった「肉用牛農家で働く人々」と出会い、調査者として第三者的に分析するのではなく、その人の立場から分析することで、特別な事象としてではなく生活の営みが紡ぎだす日常的な事象として捉えることができる。「肉用牛農家で働く人々」の物語との出会いは、当事者の生活実態そのものなのである。

撮影・文:佐野市佳(博士課程後期課程)

■ストリート・ギャラリー(フィールドから見えるもの)

posted on 2009-05-28