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【ギャラリー】 二分化された廃棄物回収業

写真1:正規廃棄物回収者

写真1:正規廃棄物回収者


写真2:無認可廃棄物回収者

写真2:無認可廃棄物回収者


二分化された廃棄物回収業 (2010年8月撮影、2011年1月掲載)

廃棄物回収者は、市場メカニズムの下で廃棄物の回収、再資源化にとって重要な役割を担い、中国の現代的な都市の建設においては不可欠な存在であったが、彼らに対する社会的評価はたいへん低いというのが現実である。都市の出身者は、社会的地位が低いと認識される廃棄物回収業を回避しがちであったため、瀋陽市で廃棄物回収業に従事する人は農村出身者が圧倒的に高い割合を占めていた。農村出身である回収者は、都市社会において相対的に力の弱い立場に置かれており、都市住民に差別されたり、社会的に排除されたりする場合がある。

2006年、瀋陽市における廃棄物回収者に対する身分認可制度の導入は、廃棄物回収者を「正規部門従事者」と「非正規部門従事者」に二分化し、「非正規部門」に対する排除を本格的に行った。これによって認可された正規回収者の多くは、都市出身の失業者の再就職問題を解決する方策として優先的に採用された都市出身者であった。その結果、既存の大部分の農村出身である回収者は正規の身分が得られず、その活動が違法とされる立場に立たされることになってしまった。

写真の中で正規回収者の三輪車には「瀋陽市再生資源管理事務所」という文字が印刷されており、身分の正統性が保障されている。一方、農村出身である無認可の回収者は関連機関による厳しい取り締まりを回避するために、白昼の回収を取り止め、早朝と夕方のみ三輪車で住宅街を回りながら正規回収者より少し高い値段で資源物を回収している。このような背景のもと、農村出身の回収者の境遇は明らかに不利なものとなり、彼らの収入は常に不安定な状態に置かれている。このままでは生活が破綻してしまう可能性もじゅうぶんある。この問題にたいする社会的支援の方策はいまだ立っていない。

こうした構造的な問題によって、少なからぬ社会的矛盾やトラブルが引き起こされており、それらをきちんと解決することは社会的公平と正義を護り、社会の調和と安定を保たせる上でも必要不可欠である。

撮影・文:金太宇(関西学院大学大学院社会学研究科 博士課程後期課程)

■ストリート・ギャラリー(フィールドから見えるもの)

posted on 2011-01-21