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【報告】 日本社会学会若手企画テーマ部会

日本社会学会(第83回大会、於名古屋大学)でのテーマ部会は、盛会のうちに無事終了しました。


「グローバリゼーションと移動・定住のフロンティアの現在(若手企画テーマ部会(1))」

●日時:11月6日(土)09:30~11:30

●報告:

山北 輝裕(日本大学)
「野宿者の移動と定住」

安達 智史(日本学術振興会/東北大学)
「イギリスの若者ムスリムの社会意識―グローバリゼーション、再帰性、アイデンティティ―」

稲津 秀樹(関西学院大学/日本学術振興会)
「移動する人びとの社会をどのように〈フィールドワーク〉できるのか―〈自己延長的なフィールドワーク〉の試みにむけて―」

谷村 要(大手前大学)
「ネットコミュニティと地域コミュニティが交差する<場>―滋賀県犬上郡豊郷町におけるアニメ聖地を事例として―」

轡田 竜蔵(吉備国際大学)
「グローバリゼーションと地元志向」

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●コメンテーター:五十嵐 泰正(筑波大学)、塩原 良和(慶應義塾大学)

●司会:川端 浩平、白石 壮一郎(いずれも関西学院大学)

このテーマ部会は、本大学院GPにおけるこれまでの共同研究研究会の参加者を中心に編成されました。また、同学会は今大会で、若手の委員(若手フォーラム)が企画するテーマ部会を4つ開催しましたが、本部会はそのうちのひとつです。

さいしょに、司会者がたたき台としてふたつの提題をし、その提題に応ずる形で各発表者が事例研究を報告してもらいました。

グローバリゼーションは、画一化・均質化一辺倒ではなく、ローカル化の契機もふくんでいます。だが、グローバル化は「上から」、ローカル化は「下から」という説明図式は単純で、そのローカル化のなかには、資本や行政によってその契機がデザインされ、用意されたものもある。ここまでが、社会学ですでになされている指摘です。そこで・・・

【提題1】
帰属/identityのあり方や生活様式のあり方のなかには、資本や行政のデザインに規定されきらない部分もある。そうしたデザインに乗りつつもしだいに別の帰結を招来するような諸実践のように、これまでの研究では対象化されにくかった地域社会のリアリティがある。それはどんなものか。

【提題2】
流動性の高まりによって生じうる、これまでにみられなかった異なるカテゴリに属する人びとどうしの出会いをどうとらえられるのか。そうした出会いのなかでのコンフリクトや協働の例(これまでに対象化されにくかった水準での)はあるか、そしてそれはどう評価しうるか。

報告・コメント時間がずれこみ、フロアでの討論時間を割愛せざるを得なかったという反省はありますが、それぞれ力のこもった事例報告と、それらを架橋しつつ問題整理とあらたな論点提起をもたらした卓抜なコメント、報告者のコメントへのさらなるリプライという、濃密な120分でした。

各報告のアブストラクトは、学会webサイトよりごらんいただけます。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jss/research/conf83_p.html


※当日参加した大学院生・研究員からの報告・コメントなど(pdfファイル)はこちらからダウンロードしてください。

posted on 2010-11-19