【レポート】 第2回日中若手研究者フォーラム@北京師範大学(2009年8月16日~26日)


 2009年8月16日から26日にかけて、第2回日中若手研究者フォーラム(3日間に渡るワークショップ、4日間の現地調査、そして、最終報告会)が北京にて開催された。

 まだ自分の研究対象すらおぼろげにしか決まっていない状態での海外発表はいささか無謀ではあったが、データを集めるために何度か現場に足を運び、参加メンバーやGP事務室、英語チューターからのサポートを受けながら、準備を進めた。

 私は、阪神淡路大震災後の駅前の再開発(特に神戸市の阪神御影地区)に関する発表を行った。質疑応答では、問題の中心ととらえていなかったり、あまり意識的に考えることがなかったようなことに北京師範大学(以下、BNU)側の学生から質問が寄せられ、そのことを掘り下げて考察することの重要性を認識することができた。

 共同調査の対象は、北京市内にある「798芸術区」であった。798芸術区に対する予習は正直あまりできなかったものの、現地を歩き写真を撮ったり、ギャラリーを体感したり、説明を受けたりすることで次第に関心が深まっていった。

 芸術区内の「景観」をテーマとした私たちの班は、毎日午前中に当日行う調査の方向性を確認し、調査後も大いに議論をした。そうして、798芸術区における建築空間を五つの類型に分けて調査、分析するに至った。共同調査は言葉の問題もあり簡単なものではなかったが、民俗学の手法を修めた学生のリサーチ方法を間近で学べるという機会に接することができたことはとても貴重な経験であった。最終日の発表では、本プログラムの意図に応えるように、日中双方の学生による共同調査の手法とその意義、そしてその実践についてのプロセスを重視した報告になった。

 今回のフォーラム・合同調査は言葉の壁、文化の違いなど本来の目的以外のところでも少なからぬ問題が発生し、その都度参加者全員で解決してきた。それらも含めて、机上で本を読むだけでは決して得られない得難い体験ができたと思う。

(松村淳・関西学院大学大学院社会学研究科博士課程前期課程)

より詳しい報告は「日中若手研究者フォーラム(中国・北京師範大学)に関する報告」をご覧ください。

posted on 2009-10-30