コンセプト
プログラム概要
 社会学研究科では2008年9月に文部科学省大学院教育改革支援プログラムに採択されました。本プログラムはその名のとおり、「教育プログラム」ですので、研究科のカリキュラムと密接に関係します。大学院において必要とされる単位修得とともに本プログラムにおいて実施される共同調査企画や国際発信能力涵養の英語チュータークラスなどの各種オプションプログラムへの積極的参画を通して、「ソシオリテラシー」を涵養し、現実社会の問題・課題に対する貢献しうる専門知識の習得を目指しています。
ソシオリテラシー教育のプログラム
 本プログラムで構想する「ソシオリテラシー」とは、社会学的な発想のもとに現実社会を観察/記述/分析し、専門知識に基づく社会的貢献を果たすうえで不可欠な能力であると本研究科では考えています。「ソシオリテラシー」は、従来のリベラルアーツが体系化された教養知識の習得を目指したのとは対照的に、高度な専門知識の習得と国内外に向けての発信を目指しています。
 本プログラムでは、ソシオリテラシーの涵養を通じた「社会の幸福に資するソーシャルリサーチ」教育の実現を目指し、「セオリー/モデル」、「フィールド/メソッド」、「リサーチ/データ/プレゼンテーション」の3つの系に分類した科目設置のもとで教育を行うと同時に、市民との共同調査など実践的な活動や、国際的発信のためのトレーニングの機会をオプションプログラムとして設け重層的な教育を行います。
なお、本プログラムの運営は、以下の理念に基づき、社会学研究科大学院GP事務室の専任スタッフが社会学研究科と密接な連携体制でサポートする態勢を整えています。
  1. ソシオリテラシーの習得:科目修得を通して特定の領域・方法に偏ることなく社会学的発想の基礎を幅広く習得する(前期課程、ソシオリテラシー・ベーシックス・プログラム)。その上で多様な専門領域を相互に関連づける知識を習得しつつ博士学位取得の目標を明確にし、主体的に研究を立案、遂行、発表する能力を習得する(後期課程、ソシオリテラシー・アドバンスト・プログラム)。
  2. 実践的な知の涵養と実践技術の習得:知の涵養と実践的な活動とを有機的に結合するオプションプログラムを通して、多様な専門的な知を社会へと開いていく実践的技術を習得する。
  3. 国際発信力の習得:国内外の研究者を招いて行うワークショップを学生が主体となって実施する機会を設けるとともに、論文執筆支援プログラム、多様な国際連携プログラムなどを通して教員およびRA(リサーチ・アシスタント)が支援する。また海外留学、海外調査プログラムなど競争的資金援助の機会を設けることで、日本人学生だけではなく留学生(主としてアジアから)に国際的発信力を習得させる。
 博士課程前期課程/後期課程を通じた以上のような社会学教育を通して、調査研究の基礎力・応用力・応答力をそなえた大学院生、研究企画力・成果発信に関するコミュニケーション能力をそなえた大学院生、市民社会と大学・研究機関との協働のメディエーターとなる大学院生を育成すべくプログラムを推進しています。
カリキュラム_プログラム体系図
オプショナルプログラムの特徴
 上記の理念のもとに本プログラムでは従来のカリキュラムを補完する特徴的なオプションプログラムとして、共同調査プログラムおよび国際連携プログラムを設けています。これは、海外の研究機関の研究者・大学院生らと協力し、共同調査やワークショップを大学院生自らの手で企画・参加することによって実施されるものです。これをおこなうにあたって必要とされる英語による発信力の涵養については、英語チュータークラス、英語コロキアムにて英語による討論、プレゼンテーション、論文添削などを行うなど教員およびリサーチ・アシスタントが肌理細やかに支援しています。研究企画力の涵養に関しては、企画立案時のサポートに加え、院生企画の共同研究を公募した上で研究会開催に対する助成をおこなっています。また研究成果発表に関しても、雑誌投稿論文執筆に関する助成など、多方面からサポート体制を整えています。 さらに学外との交流プログラムとしては、
  1. 計量社会学セミナー
    (ネパール・トリブバン大学ネパール・アジア学術センターとの共催)
  2. 日中若手研究者・院生 社会学・民俗学学術フォーラム
    (中国・北京師範大学民俗社会発展研究所との共催)
  3. 共同研究「東アジアにおけるストリートの現在」
の3つの大学院生企画参加型のオプショナル・プログラムが現在進められています。
 こうして、多様で多彩なサポート体制によって、大学院生は社会に開かれた実践的な知が涵養されるとともに、共同研究などの企画力、研究成果を発信する手段としての「英語能力」が身につきます。「ソシオリテラシー」に支えられた専門知識を身につけた大学院生が、グローバル化によって急激に変化しつつある「アジア」への深い関心のもとで独自な研究成果を国際的に発信できる人材へとさらなる成長を遂げることを願っています。