お知らせ&レポート » 一覧表示 »

【ギャラリー】島の待合所

gp0007-001

島の待合所(2008年8月撮影、2009年7月掲載)

ここは瀬戸内海に位置する島の船の待合所。島内の人びとのあいだで、また島外の人とのあいだで活発な交流がなされる主な場の一つである。この待合所は季節によって異なる風景を持つ。夏には海水浴で島を訪れる人が増えるため、普段は見慣れない若い人たちでにぎわう。お盆やお正月には、島を離れて生活するこの島に先祖の墓を持つ人たちが帰省し、待合所に居合わせた懐かしい人たちとの会話がはずむ様子がうかがえる。

一日の枠組みで見た場合においても、この待合所の様相は時間によって随分と異なる。日中は比較的静かである。待合所で販売されている飲食物を買いにきて偶然居合わせた人との会話がかわされ、ゆったりとした時間が流れる。一方、朝夕は通勤・通学で船を利用する人たちであふれる。船を待つ間や自宅からの迎えを待つ間、今日一日の出来事をやりとりする様子があちこちにみられる。

ここは島外に居住する人や島の住人が多く行き交う場であり、人びとにとって、物だけではなく多くの情報を得る場となっている。島内と島外を結ぶ単なる経由点であるのみではなく、島内の様々な情報がここで共有され、関係が築かれる可能性がここに広がっているのである。

撮影・文:木原弘恵(博士課程後期課程)

■ストリート・ギャラリー(フィールドから見えるもの)

posted on 2009-07-14