この調査は、日本学術振興会より研究費が助成されている研究[2016~2020年度科学研究費基盤研究(A)「政策形成に貢献し調査困難状況に対応可能な社会調査方法の研究」]の一環としておこなわれています。研究代表者は関西学院大学社会学部教授の大谷信介です。研究分担者は、慶應義塾大学(稲葉昭英)・日本大学(後藤範章)・桃山学院大学(木下栄二)・松山大学(小松洋)の4名の教授で構成されています。さらに、長崎大学(片山朗教授)・愛媛県庁・長崎県庁の職員の方々にも研究会に参加していただき、調査票の作成や調査の実施に協力をいただいています。
【科学研究費とは?】
科学研究費助成事業は、人文学、社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする「競争的研究資金」であり、ピアレビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行うものです。
・参考URL(〈日本学術振興会〉科学研究費助成事業)http://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/index.html
何のための調査なのか(調査目的)
この調査によって、県民の生活実態(どんな人が・どこに住み・どこで働き・どのように暮らしているのか)を正確に把握し、県の政策に貢献するデータを構築していきたいと考えています。それは、これまで政策立案過程で重要な位置を占めてきた政府統計(統計調査と世論調査)が、社会・経済構造の激変によって、多様な国民生活の実態を正確に把握できなくなってきているという問題に直面しており、国民の生活実態を測定しかつ分析可能な社会調査の必要性が高まっているからです。また昨年度の研究で、全国47都道府県が実施している県民世論調査の実態を詳細に分析してみた結果、多くの調査が「県民にどんな政策を望むか」を直接県民に問う質問が多く、回答しにくいという問題や政策立案過程でほとんど活用されていないという問題が判明してきました。
今回の調査はそうした現状の問題点を克服し、全国47都道府県で実施可能な、政策立案に貢献する「県民生活実態調査」を構築することを目指しております。この調査によって、同じ県内でも、地域や人によって生活実態や抱える問題が違うこと、あるいは愛媛県と長崎県では実態が異なることなどが明らかになると考えています。
なぜあなたに調査票が送られてきたのか(調査対象者の選定)
愛媛県民生活実態調査では選挙人名簿、長崎県民生活実態調査では住民基本台帳から調査対象者を選定させていただきました。各市町村の選挙管理委員会および住民基本台帳担当課にて所定の手続きを経て、名簿を閲覧しました。調査対象者の選定に際しましては、名簿に記載されている方々に仮想の番号をふり、スタート番号を無作為に決め、そこから等間隔で選定するという方法をとりました(等間隔抽出法)。つまり、県民の皆さま(18歳~80歳)は、どなたも選ばれる可能性は等しく、その結果としてあなたが県民を代表する調査対象者として選ばれたのです。
封筒にナンバーを印刷している理由と、個人情報の保護について
この調査の対象者は各県2,000名です。この方々が県民を代表するようにサンプリング(標本抽出)をおこなっています。つまり、特定の年齢層などで調査票のご返送が少ないといった場合には、この調査結果が県民を代表することが難しくなります。調査票を返送していただいた割合を「回収率」といいますが、回収率を上げることが、調査結果の質の向上にはきわめて重要となります。そこで今回の調査では、調査票返送期限の前後に、調査票未返送者の方に「調査票返送のお願いはがき」をお送りさせていただくことにより、回収率向上につとめたいと考えております。どなたから返送していただいたかを把握するため、調査票に個人を識別するナンバーを印刷しております。ナンバーが印刷されていることで、不快な思いを抱かれる方もいらっしゃると思いますが、調査結果の質の向上のための方法として、ご理解いただければ幸いです。また、調査結果はすべて数字として処理し、個人が特定されることはありませんのでご安心ください。
名簿や記入済み調査票の取り扱い
選挙人名簿・住民基本台帳から転記した名簿、それを宛名印刷するために入力したデータ、ご返送いただいた調査票は、すべて関西学院大学内の鍵付きの書庫に厳重に保管し、本研究の終了年度である平成33年度末には、すべて焼却処分いたします。
調査結果の公表について
この調査研究は、科学研究費助成事業の採択を受けていること・政策形成に役立つ調査を目指していることから、この調査の結果を積極的に公表していきます(調査結果はすべて数字として表示され、個人が特定されることはありません)。本研究の終了年度までに報告書の作成、出版も予定しています。また、分析結果については、大谷研究室のサイトにて随時報告するとともに、愛媛県庁広報広聴課・長崎県庁県民センターに、データを寄贈いたします。
この調査では、職場の所在地や郵便番号、ご両親・お子さんの居住地、買い物をする店舗、病院等、[場所]について多く質問しています。それは、県民の方々の生活実態を空間的に把握するための方法を開発するためです。どこに住む人がどこに通っているのか、親と子が近くに住んでいるのか、買い物や病院は不便か、といったことを解明しようとしています。また、将来的には国際比較調査も実施する予定です。質問の中に、「車で行くと仮定した場合の所要時間」を問う質問があります。これは、欧米社会との比較を想定し、統一した基準の時間的距離を把握するという目的も考えています。
調査に関するご質問やお問い合わせ
宛先:〒662-8501 兵庫県西宮市上ヶ原一番町1-155
関西学院大学社会学部 県民生活実態調査実施本部
電話:0798-54-6069
受付時間:7月13日~7月31日の平日10:00~15:00
Eメール:otani-lab@kwansei.ac.jp