ゲームの目的と手続き

「誰がなぜゲーム(Who & Why GameⅡ; WWGⅡ)」とは?

「みんなの利害にかかわる決定」をめぐる多様なアクター

私たちの身のまわりには、「誰かのものではない、おおぜいの人にとっての利益(あるいは負担)」がたくさんあります。 「会社の利益」「地域の利益」そして「社会の利益」など。

たとえば、「地域の安全」という利益があります。
この利益は、誰か特定の個人などの所有物、ではありません。でも、それがなくなってしまったら、みんなが困ります。誰かのものではない、みんなのもの、という利益。こういう利益を、「公益」といったりしますね。

「地域の安全」という公益を守るため、たとえば「この町では夜8時以降、酒の販売を禁ずる」そういう決まりをつくろう、というアイデアが出てきたとしましょう。これを条例として、町の人たちみんなに厳守してもらおう、という動きが出てきたとします。

こういう条例が決定したら、喜ぶ人たち(利益を得るアクター)もいるかもしれません。
酔漢に困る女性たち、連日飲んでご帰宅の旦那様に手を焼く奥様がた……。
でも、困ってしまう人たち(不利益を被るアクター)もいることでしょう。
酒屋さん、居酒屋の経営者たち、タクシーの運転手さんなど……。

こういう決定は、いろんな立場の人たち、つまり多様なアクターの利害を左右します。公的決定というわけです。たとえば公共政策の是非は、公的決定の一例です。

「みんなの利害にかかわる決定」を決める正当な権利、それは誰が持つべきか?

さて、このように多様なアクターの利害を左右する決定(その是非どちらであっても)は、誰が行うべきでしょうか? どのようなアクターに、その決定を行う正当な権利を、認めるべきでしょうか。
上に出てきた女性たち?奥様方?酒屋さんや居酒屋の経営者たち?
つまり市民の皆さん、もしくは当事者たち?
または、「これは町の政策だから」ということで、役所が決めるべき?議会や政治家の方々でしょうか?

「みんなで決めよう、みんなの利害にかかわる決定だから」
「いや、当事者に決めてもらうべきだ、だって当事者なんだから」
「当事者まかせはダメ、役所か議会が決めるべきだ、こういうのは公的機関の仕事だ」

……いろいろな考え方がありますね。
つまるところ、「誰が決めるべきか」「その決定権の根拠は何か」をめぐって、人それぞれ、立場ごとに考え方がちがうわけです。

「誰がなぜゲーム」で体験する、正当性の評価をめぐるアクター間の相違と合意形成

「みんなの利害にかかわる決定を行う正当な権利」について、どんなアクターが、それぞれどんな意見をもち、その意見はアクター間でどのように違い、あるいは一致するのでしょうか。

あなたの立場で考えた「この人に決める権利がある、その理由は……だから」という意見と、立場の異なる別の人が出してきた意見が、必ずしも一致するとは限りません。

「みんなの利害の決定権」をめぐって、多様なアクターの間に発生する意見の一致または不一致。これが、多様なアクター間における正当性の相互承認構造です。

私たちがふだんあまり意識することもない、権利の正当性をめぐっての自分と他者との価値観の相違、そしてそれを一致させていくための議論のあり方。
これをゲームの形で体験できたら、おもしろいと思いませんか。

「誰がなぜゲーム」は、多様なアクターの利害にかかわる決定(たとえば公共政策など)を誰が行うべきか、その決定権を持つべきは誰なのかをめぐってアクター間で議論を重ね、正当な権利を持つべき人、その権利の根拠について、合意の達成を目指すゲームです。

「誰がなぜゲーム」の手順と実施例はこちらをどうぞ 。
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